
電報の歴史について
「電報」というのは、かつては「NTT」が一手にその業務を取り扱っていました。その理由は、電話回線を使って電信を送っていたわけですから、当時の国内電気通信事業を独占していたのが日本電信電話公社(現在のNTT)だったということを考えれば分かりますよね。
しかしながら、実際のところ、電報業務を日本電信電話公社(現・NTT)が執り行うようになったのは1952年(昭和27年)、つまり戦後のことなのです。
日本電信電話公社(後のNTT)以前の電報というのは、実は郵便局(当時の逓信省)が主体となって取扱いがされていました。国内での電報サービスの開始から逓信省時代の大まかな流れは以下の通りになります。
モールス信号をカタカナに変換・印字・配達。
・1873年(明治6年)東京~長崎間まで電報サービス拡大
・1874年(明治7年)日本帝国電信条例によって電信事業の官営が法制化
・1875年(明治8年)北海道から九州まで電報サービス拡大
開始から6年という短期間で国内の電報サービスは全国整備が完了していることに驚きです。
また、当時の電報サービスは、電話で文言を伝えるという形ではなく、郵便局に行き、「頼信紙」と呼ばれる紙にカタカナで電文を書いて申し込んでいました。電話からの受付が開始されるのは1890年(明治23年)になります。ようやく、我々が一般的に知るところの「電報」というサービスの形が整いだしてきました。以降は、次のような流れでサービスが拡充されていきます。
・1923年(大正13年)印刷電信機が登場
・1930年(昭和 5年)写真電報サービス開始
・1934年(昭和 9年)年賀電報サービス開始
・1936年(昭和11年)メッセージに台紙が付く慶弔電報サービス開始
そして、上述の通り、1952年(昭和27年)にNTTの前身である日本電信電話公社が設立され、電報業務はこちらに引き継がれることになりました。以降のサービス変遷は次の通りです。
・1988年(昭和63年)ひらがなの電報サービス開始
・1994年(平成 6年)漢字電報サービス開始
・2003年(平成15年)民間企業の参入が自由化
以降は、ヒューモニー『VERY CARD』(2002年サービス開始、2004年特定信書便事業許可取得)を初め、新規参入の会社は後を絶たずという状況。まさに電報戦国時代なのです。